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2024年7月15日 (月)

コンサートの予習会・2

一昨日のブログの続き。

721日の演奏会の予習音源。後半のブラームスのピアノクインテントです。

https://youtu.be/Eej2LJF-IXg?si=aYqng8IE_uruTU-D

 

1stヴァイオリンのレーピン、ピアノのルガンスキーなど、チャイコフスキーコンクール上位入賞者のスーパーソリストによる演奏。

 

そして、最近注目しているエベーヌ弦楽四重奏団のまとまった演奏も追加で。

https://youtu.be/Jb7vDC5les4?si=gweZwqYmHeLP2WSh

 

 

ピアノ五重奏は、ピアノ、ヴァイオリン二人、ヴィオラ、チェロの5名の編成です。

ヴァイオリンは、1st2ndに分かれ、1stは主にメロディーを演奏します。

時には同じメロディをオクターブで高い方を1stが低い方を2ndが弾くこともありますが、

2ndどヴィオラは主に内声、和音を担当します。

 

目立つのは音が高い1stですが、実は音楽の感情は和声(和音)にあるので、

実は2ndとヴィオラパートが表現する気持ちを1stが語っているのです。

 

音楽の3要素はメロディ、リズム、ハーモニーにあると言われ、

メロディとリズムは目立つのでわかりやすいのですが、

実は音楽の楽しみは和音を聴くことにあると個人的には考えています。

そんな感じで、今こんな和音が聴こえるなあ~なんて聞いてみてください。

 

余談ですが、スマホから流れる地震の緊急予告音声のあの気持ち悪い音は、「減七」という名前がついた和音を二つ横にスライドしたものです。

減七の和音は、もっとも不安を呼び起こす性質の和音です。

 

ブラームスのピアノ五重奏曲の解説をどうするか迷っていました。

長いし複雑だし、言葉で説明しても野暮というもの。

ごく簡単に枠組みだけお伝えしたいと思います。(と思いつつ、書いてみたら長くなりました、、、)

Img_6082_20240715225401

 

1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ (快速にしかしほどほどに)へ短調 四分の四拍子

とにかく暗くて厳格で熱量が高い楽章です。

好き嫌いの前に、曲の精神的な充実感を楽しんでいただけたらと思います。

お手軽な楽しみの対極にあるような重厚なブラームス。

噛めば噛むほど味わいが出てくるのがブラームスの世界です。

表向きはごつごつしていてとっつきにくい。

どなたでもどうぞ という顔をしてはいません。

自分の心に偽りがない音楽。とことん推敲して自分を追い込んで考え書いています。

真剣勝負の最高峰です。

 

第1楽章はソナタ形式で書かれていて、前にも説明したかと思いますが、二つの主題を持ちます。

主人公が二人いて(男女)その二人が冒険に出て様々な体験をしている物語と聴いても面白いです。

主題を提示する「提示部」、主題を変化展開する「展開部」、そして最初の主題が戻って来る(しかし成長している)「再現部」と

三部に構成されているのがソナタ形式です。

大きなものは最後に「コーダ」という終結部が付くことがあり、この第1楽章もコーダが付いています。

コーダが付くことでよりダイナミックな印象になりますし、コーダを書かずにはいられない作曲家が作品に掛ける思いも伝わってきます。

 

第2楽章 アンダンテ・ウン・ポーコ・アダージオ(歩くくらいの速度 少し静かに)変イ長調 4分の三拍子

第1楽章の激しさに対して柔和で抒情的で、対比がくっきり聞こえます。

曲は2部構成にコーダが付いています。

 

第3楽章 スケルツォ ハ短調 八分の六拍子 三部形式

変化に飛んだ生き生きした楽章。付点のリズムが印象的です。

八分の六拍子で始まりながら、四分の二拍子と交代しながら進み、性格の違う3つの主題も交代して出てくる充実のスケルツォになっています。

 

スケルツォは真ん中の部分に必ず「トリオ」を挟みます。

このトリオ部分は八分の六拍子でハ長調。

スケルツォの始まりの激しさから一転して温かみのある抒情性と民謡風な親しみもある部分です。

このトリオにも二つの主題があり、この楽章だけで5つの主題を持っていることになりますね。

スケルツォはトリオの後にもう一度最初のスケルツォ部分が戻ってきます。

サンドイッチのパンがスケルツォだとすると、中身のフィリングがトリオ部分と言ったらブラームスに怒られるでしょうか、、💦

そう言っていいのなら、ずいぶんと噛み応えのあるドイツパンでパン自体が味わいが濃いですね。

 

第4楽章 ポーコ・ソステヌート~アレグロ・ノン・トロッポ (少しゆったり そののち快速にしかしやりすぎず) へ短調 序奏を持つロンド形式

第1楽章がへ短調でしたので、第4楽章もヘ短調になることで何かストーリーが見えてくるかもしれません。

頑固で強靭な人物の物語と聴いてもいいかも。

ブラームスは室内楽で速い主部の前にゆるやかな「序奏」を書いたことは少なく、

終楽章を序奏付きにしたのはこの曲だけ。

 

序奏は二分の二拍子で暗く神秘的に始まります。

全休止の後、拍子が四分の二拍子になり、テンポは急速なアレグロ・ノン・トロッポの主部に入ります。

チェロがリズミックにしかし静かに奏する第1主題。

ト短調で哀感を表情豊かにヴァイオリンが歌う第2主題。

軽快なハンガリー的色彩のあるハ短調の第3句。

などを巧みに展開再現しながら曲は進み、プレスト・ノン・トロッポ(非常に急速にしかしほどほどに)のコーダに接続。

切迫感のあるリズムで進み、全力で生きている音楽の充実感の中で曲を終えます。

 

音楽之友社出版の「名曲解説全集12巻 室内楽曲」を参照しながら、

文字で解説してきましたが、

解説は楽譜という地図を歩くためのガイド、今どこにいるのか?がはっきりわかるためのガイドです。

あまり気にせず、個人個人の感じるままに正解など求めずに楽しんで聴いてください。

 

生の良いところは、演奏者の弾く姿という目からの情報だけでなく、肌が振動を捉え、会場の聴衆の一体感ある集中力からCDや録音ものでは得られない体験があることです。

当日は何も考えず、目の前で繰り広げられるドラマの中に入って参りましょう!

聴いておけば知らない場所ではなくどんどん作品の世界に入っていけると思います。

 

50年共に歩んで来られた桐五重奏団の記念演奏会。

聴衆の私たちに何を残してくれるのか?大いに期待しているところです!!

今週末の日曜日 東京文化会館小ホール 14時開演

勝間塾の友人と計6名で行って参ります!

その前にみんなでランチも♪

 

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