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2024年3月19日 (火)

ベートーヴェン交響曲第2番

続き。

 

初めてのオーケストラ体験の方もいらっしゃるので、

前もってインフォメーションをしたいと考えて、

まずは参考音源をイベント欄に貼り付け、

その後作品ごとに解説を書きました。

コミュニティのイベント欄にも書いた解説を、ブログでも共有したいと思います。

 

ベートーヴェンの交響曲第2番 についてのインフォメーション。

 

この前お送りしたYouTube  https://youtu.be/XQ4TCJX9zuQ?si=yCGxzPiT43iZVcUQ

を聴いていただいておわかりのように、明るい曲調に満たされているのですが、

実はこの時期のベートーヴェンは難聴に悩まされていました。

有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いたのもこの年です。

そしてこの二番の交響曲も同じくハイリゲンシュタット(オーストリアの地名)で書かれています。

これをどう見るか?解釈は様々です。そこら辺のところは当日のランチの時にでも。

 

1/ 交響曲ってなに?

交響曲というのは、三楽章、あるいは四楽章で構成されているオーケストラ曲のことで、大体30分から長ければ一時間近くかかる壮大な作品です。

1楽章は必ずソナタ形式で書かれています。

規模が大きいので、作曲家にとっては勝負どころ、腕の見せ所の曲と言えます。

 

三楽章あるということは、三章仕立ての物語と考えていいと思います。

それぞれの楽章が関連があることもあれば、全く違うキャラクターのこともあります。

関連がある場合は物語としてとらえてもいいですし、

楽章で関連がなければ、長いエッセイが三つ四つ並んでいるオムニバス形式と考えることもできます。

でも必ずその3つ、4つの楽章が効果的に配置され、通して聞いた時に大きな物語として聞こえるように書かれています。

 

/ 作品の構成について (楽章ごとに)

第一楽章

出だしはアダージョ・モルト(非常にゆっくり静かに)の序奏から始まります。

そして、第1楽章主部のアレグロ・コン・ブリオ(快速に生き生きと)の表示通りに明るく展開されていきます。 ここから4/4拍子、ニ長調 ソナタ形式

 

ここで、ソナタ形式とは?を説明しますね。

「展開」 と書きましたが、交響曲の第1楽章は必ずといっていいほど「ソナタ形式」で書かれています。

 

形式にのっとって書かれているというあたり、いかにもドイツ的です。

そうなんです。ソナタ形式はドイツ音楽の真骨頂でもあります。

特にベートーヴェンの作曲スタイルは弁証的と言われ、

「これはこうであるか?」「いやこうではないか?」と問いを立て、

「ならばこうである!」と進むのです。

非常に男性的です。

 

そしてソナタ形式の重要な情報として、必ず二つの主題があります。

最初に出てくるメロディが第一主題。

これは男性的な性格であることが特徴です。

しばらくして出てくる第2主題は、対照的に女性的なメロディ。

まるで男女の主役がいるかのように展開することもあれば、

一人の主人公の中の心の二つの動きと見てもいいです。

解釈は一つではありませんから。

 

詳しく説明しすぎると頭で考えすぎて楽しめなくなるので、なるべく簡単にしようと思いますが、

最初に主人公、材料、場面を伝える提示部があって一旦仮に閉じたのち、

展開部に入ります。

文字どおり主題を使って展開して行くのですが、

この二番のシンフォニーは短い展開になっています。

 

そしてお決まりの再現部に入り、主人公が短い冒険に出かけて我が家に戻ってきたような感じに聞こえます。

あっ 最初のメロディーに戻って来た!と思えたら、そこが再現部の始まりです。

聴き慣れてくるとわかると思います。

第二番のシンフォニーは長いコーダ(しっぽ)が付いていて、それも雄大に聴こえる要素になっています。

 

まずは、ゆっくりの序奏の後に出てくるメロディ(第1主題)に注目してみましょう。

提示部は繰り返して全く同じものを2回弾くので、

なるほどここからここまでが提示部か とわかると思います。

そして、展開部を経て再現部に入る箇所も、提示部の出だしと全く同じですので「来た!」とわかると思います。

まずはこの第1主題が出てくるのを発見する楽しみを元に、YouTubeを楽しんでみてくださいね。

 

第二楽章 

ラルゲット 3/8拍子 イ長調

2楽章としては珍しく、このラルゲットはソナタ形式で書かれています。

このメロディの美しさは有名だそうで(私は知らない💦)、のちに歌曲にも編曲されたそうです。

ベートーベンが書いたこういうゆっくりした楽章は、彼が散歩しながら野や山を歩いたであろう姿を彷彿とさせます。

難聴に悩まされていた時期とは思えない、平和で憧れに満ちた幸せな世界が広がります。

 

第三楽章 

スケルツォ アレグロ(快速に) 3/4拍子 ニ長調

スケルツォとは、よく諧謔的なと訳されますが。諧謔的ってナニ?ですよね。。

まあ冗談や戯れという意味があり、気楽で楽しい踊りの要素を持つと捉えてください。

 

ここで注目すべきことは、交響曲第2番が史上初めて交響曲の中で「スケルツオ」を使ったということです。

それまでの交響曲には「メヌエット」という貴族の踊りの形式が使われており、

貴族的な世界から一般庶民の世界に音楽を広く間口を開けたと言えます。

ベートーヴェンは音楽の革命家でした。時はフランス革命の時代です。

 

第4楽章 

アレグロ・モルト(非常に快活に) 2/2拍子 ニ長調 拡大されたソナタ形式。

提示部、展開部、再現部と形式通りに進んだ後のコーダは、159小節にも及ぶ堂々たるものです。

 

何拍子か?ということも記したので、4拍子、3拍子、3拍子、2拍子と思って、指揮して遊ぶのも楽しいと思いますよ。

全楽章で約30分。

 

前もってお伝えするのは作品のことだけ。

当日は作曲家についてお話したいと思います。

 

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