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2023年12月28日 (木)

「824 月明かりのロンド」

 

今日は友人の念願だったタイの女性作家の小説「824 月明かりのロンド」の翻訳本が出版されたことのシェア。

感動を分かち合いたく、ぜひ最後までお読みくださいね。

Img_2109

この小説の翻訳を手掛けたのは、今年知り合って親しくなった蛭川 薫さん。

校正チームの面々からすでに感動のコメントが多数上がっていたので、

読む前からもう楽しみでたまらなく、

読んでもいないのに泣くだろうな、、、と思うほど

期待していました。

そしてそれは期待以上でした。

 

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CQJPZ5F2

 

先週木曜日、仙台でのレッスンの帰りの新幹線で読み始め、

一気に読んでしまいたいところでしたが、

さまざまな連絡メールなどもあって、半分しか読めずに家に着いてしまいました。。

 

ああこの後、YouTube製作をクリスマスまでにやりたい。

(→無事配信 「戦場のメリークリスマス」 https://youtu.be/wN9iMpDZxOs )

コンサート当日配布のプログラムも作らなきゃと、私個人もやること満載の年末。

一旦お預けかな、、、、と、泣く泣くkindleをオフにしたけれども、

やっぱり気になって仕方がない。

物語はその世界から遠ざかるのにはあまりにも魅力的でした。

 

で、スマホの自動音声読み上げで、家事をしながら読み上げる事に変更。

物語を機械で単調に読んでもらうなんて!と思っていました。

小説はリズムや行間の呼吸が何より大事。

演奏と同じだから。

 

でも後で再びペーパーバックで読むことに決めて、

今はとにかく早く最後まで知りたい!を優先。

Aiが機械的に読み上げているというのに、

何度も何度も震えてこみ上げてくるものを抑えられなくなりました。

 

著者は生まれつきの脳性麻痺で体に不自由があり車椅子を使用している女性。

それだけでも車椅子を使っているうちの娘のこと思うと生活が想像でき、

身近に感じます。

そのジェーン・ベヤジバさんは東南アジア文学賞を受賞の実力者。

東南アジア文学賞とは、日本でいうところの芥川賞のようなものだそうです。

タイでハリーポッターの翻訳も手掛けた実力人気ともに充実のジェーンさんが書いた物語は、タイのごく普通の生活をする人たちが交差するある一日の物語。

 

物語のテンポもよく、出てくる登場人物はたとえ薄汚れた犬でさえ、

皆どこか共感できる人たちばかり。

嫌なヤツが出てこないとは言いませんが、この物語は人の心の闇を暴くとか、

読む人の気分を悪くさせるようなことはないのです。

もちろん一人一人は、悲しい過去があったり、残念な面を持っていたり、

弱さも抱えて毎日生きる人たち。

私たちと同じように。

だから、すっと登場人物の中に入っていけました。

 

ネタバレしないように感想を書くのは難しいなあと思いながら今これを書いていますが、

ストーリーに触れずに全体の感想をとなると、

なんといっても著者が「824」を通じて投げかけたかったメッセージの根底にあるのは、

存在への全肯定だと感じました。

 

一人一人への祝福とも言い換えることもできるかもしれません。

「あなたは今ここに居るだけで素晴らしい」と優しく語りかけられてくる。

読む人にも。

 

働かない老人にも、

夢を追いかけては転々とする若者にも、

ただ生きているだけだった人にも、

亡くなった人にも、

等しく優しいまなざしで物語の中にその人を息づかせてくれます。

翻訳者の薫さんが直接著者のジェーンさんに面会した際に

「自分は自由に動けないため、よく周囲の人々を観察して

その人の人生の背景を思い描いていることがある」と言われたそうです。

 

想像力の力が持つ優しさ。

行動や言葉だけを見るのではなく、その後ろに、過去に、

心の奥に何があるのか。

本当のことは分からなくても、想像してみることの大切さ。

見かけだけではなく、本質を見ようとする心。

 

 

それって薫さんそのものではないかしら?

彼女はいつも私たち優しく肯定してくれる。

居てくれるだけでほっとする温かい空気をもたらしてくれる。

実際に初めて会ったときの輝くばかりの薫さんの笑顔を、

私はきっと一生忘れない。

 

本の紹介欄にもあるように、

薫さん自身がこの小説に出会った時、タイで乳がんを患い闘病中だったそうで、

小説に支えられたという。

5年赴任したタイの空気も匂いも身体中に知っている彼女ならではの

息遣いが小説の日本語版に生きている。

 

薫さんの念願だった「824月明かりロンド」の中のような社会が日本にもあったら、

どんなに私たちは安心して暮らせるだろう。

どんな人も自分らしく生きていて、困った時には支え合うことができる社会。

そんなモデルがこの小説の中に息づいているし、

この本が一人でも多くの人に読まれて、

社会がこんな風に変化してくれたら、と読み終えて願うようになっています。

 

出版直前のタイトル決めに参加させていただき、それまでも見守ってきた一人なので、

824月明かりのロンド」は私たちの孫のような気持ちになっています。

アジア文学新着1位も獲得しています。

ぜひAmazonを飛び出して、

商業出版でもっともっと多くの人の手に届きますように!

この感動と希望と温かさに触れてください💛

Img_2109

824 月明かりのロンド」ジェーン・ベヤジバ著、 蛭川 薫翻訳

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CQJPZ5F2

Kindle888、  ペーパーバック¥2008

 

写真:本の横のコースターは「これがもう最後なの」と先日薫さんからいただいたタイシルクのもの。

細かい刺繡となめらかな手触りが優しく感じます。

 

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