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2018年11月 1日 (木)

東山魁夷展・2




東山魁夷の絵には、人物は登場しない。

画風はほぼ風景に徹するけれど、

途中白い馬が出てくるシリーズがある。

白い馬は、画家本人なのだそう。

初めて描いた白い馬は「緑響く」。

描きながら突然モーツァルトのピアノ協奏曲第23Kv488

2楽章が頭の中に流れて来たという逸話は有名。

(音声ガイドのバックミュージックの選曲は、モーツァルトが中心だった)



Dsc_2297




 

森はオーケストラ。

白い馬は自分。

短調で始まる第2楽章の始まりは、たしかに静かな湖面を思わせる。

途中明るい長調に転調する個所は、

もしかしたら馬も並足で湖畔を散歩しているかも?

そしてまた冒頭の静かな物思いにふける短調に戻り、

馬はどこかへ消えていく、、、。





 

その時の心境は、

「白い馬が小さく出現したのは、

心の平安を願う祈りであり、

祈らねばならぬ心の状態であったから。

それは必然であった。」 と音声ガイドの中で語られていた。



 

 

白い馬シリーズの前の,

日本の風景を見ながら、

私は父を想い、父と一緒に観ているような気持ちになっていた。

義理人情に厚くとても厳しかった父。

父が好きな画家だったからでもあるけれども、

東山魁夷の絵はなぜか父を思い出す。

 



 

絵を見た後のランチに寄ったイタリアンで、

会計後に自分でソフトクリームを作って持ち帰れるサービスがあったのも、

やはり父を思い出した。




 

人の心を見透かし先を読む力に優れていた父は、周りから恐れられていたけれど、

実はお茶目な面もあった。

行楽地に行くと必ず「裕美ちゃん、ソフトクリーム食べようか?」と誘ってくれた。

その時の目は仕事上の厳しさはなく、優しい父親だけのもの。




 

今日はお父さんも一緒だったね、という気持ち。

東山魁夷との出会いを私にもたらしてくれたのは父だった。

これからもこの画家の絵と会う時は、いつも亡き父と一緒なのだと思う。




 

 

会場の最後に展示されていたのは、絶筆となった「夕星」(1999年作)。

画家が夢で見た風景。

夜の湖の前に立つ4本の樹は、

早くして亡くなった東山魁夷の両親と兄と弟の

四人家族を象徴しているかもしれないと音声ガイドが語る。

絵を見ながら、私の中にモーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークの

2楽章アンダンテがふと聴こえて来た。

私にもしこの作品の命名権があったら、「セレナーデ」と付けたいな♪



Photo

 

 

空には魁夷さんの作品の中で唯一の星が光る。

(私が他を知らないだけかもしれない)

月はお月見で身近に感じるように

日常に見上げる遠い憧れの象徴。

星はさらに遠く宇宙に位置し、

もしかしたらあの世の象徴でもあるかもしれない。

祈りは月や星に託されたのか。

もうすぐあちらの世界に戻り、懐かしい家族に逢えると思ったのかもしれない。

絵を見ながら私は勝手にいろんなことを想像する。

絵は懐深く観る人を迎えてくれる。




 

 

「描くことは祈りであり、

それであるならばそこにどれだけ心が籠められたかどうかが問題で、

上手い下手はどうでもよいのだ」と悟り、

自分が描く意味を見出したという。


 

 

 

「人間も自然と根がつながって、生かされている。

生まれることも死ぬことも自分の意思ではない。」

という心境に至った70歳以降も旺盛に創作活動を続けた。

1990年作の「行く秋」は生命観に溢れ、

90歳の絶筆に至るまで衰えることを知らず、

何度も書き直し己に厳しく生涯芸術家として生きた。

多くの素晴らしい作品を後世に残すに十分な時間を

神様が画家に与えてくれたことに私も感謝したい。



Images


~「行く秋」1990年作。小さい画像のため荒くてごめんなさい!~



 

でも70歳以降の作品にはどことなく安堵感や優しさも感じるように思うのは、

私の気のせいだろうか。

芸術とは人の魂を浄化してくれるもの。

日々の鍛錬と、身を削り自分に真摯に問い続けるものだけが到達できる境地。

今日はっきりそう見せていただいた東山魁夷展。

敬意と感謝を捧げます。


 

 

東山魁夷展  2018123日(月)まで国立新美術館で開催。




Photo_2

 

~「道」1950年作~



 

感動のあまり、帰宅した後娘を昼寝させて一気にブログ書きたくなりました♪

今日は全く楽器に触らなかったわ~(*_*;

夕食の支度をして娘をお風呂に入れて寝かせてから、写真を選んで夜up

娘もこのところ体調がよく、今日も良い一日でした♪






追記:

東山魁夷については、会場の作品脇に貼られた解説と、音声ガイドの内容をメモしたものを元に書いていますが、もしかしたら聴き間違いなどあるかもしれません。






 

 

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コメント

白い馬は捨てたわが子です。
白馬の森には白馬のわが子とわが子の実の父と母が描かれています。


夕星は魁夷の父と母と兄と弟と星はわが子です。

東山魁夷展・2 に、コメントをお寄せいただきありがとうございます。

捨てた我が子 というのは初耳でした。

ブログは、昨日訪れた東山魁夷展の作品の脇に書かれた解説と、音声ガイドをメモしたものを元に書いています。

私が聞き間違いをしたのでしょうか?

ネットで調べた範囲では、「白い馬は私の心の祈りであった」という東山魁夷の言葉は見ましたが、
図録を買って来ておらず、正確なことは今わかりません。

恐れ入りますが、参考文献などありましたら教えていただけませんでしょうか?
読んでみたいと思います。

心に響き感動のままによく調べず書いてしまったので、もしかしたら何か間違いもあるかもしれません。

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