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2018年10月

2018年10月17日 (水)

天上の香りと音楽 初リハーサル

 

つづきです。

ピアノトリオとは、クラシックの場合ヴァイオリン、チェロ、ピアノの編成。

低音のチェロが入ると倍音が何倍にもなって響きが豊かになり、

リハーサル後私の楽器はとても良く鳴るようになりました!

お土産まで付いた気分のリハーサル。

チェロは音域が広く表現の幅も広い。

ヴァイオリンは華やかですが、残念ながらチェロという楽器の持つ可能性には及ばない気がします。

今回は何といっても、チェロの長明氏の登場が一番の目玉!

高価な催しに見えますが、祝宴その他トータルに考え、

東京まで行って長明氏の演奏を聴くことを思えば、地元の方にはお得なのだと思います♪

 

 

 

今までも少しブログに書いたことがありますが、

長明氏とは長年のご縁。

活動、生活の場が違うので、

私の子育て&療育奮闘期間はお会いする機会はありませんでしたが、

私も残りの人生やりたいことを今やらないと悔いが残る!と発奮してから再会でき、

長明さんが首席を務める東京シティフィルの維持会員になって、

時々演奏を聴きに伺いながらエネルギーをいただいています。






 

音楽でも、昔好きだったものが年齢を重ねるとそうでもなくなることもあれば、

変わらずずっと好きということもある。

それは私にとっての本物の証。

長明さんは20歳の頃に初めて聴いてからの憧れのチェリスト。

その美しい音、生き生きとした音楽にはずっと魅了され続けているのです。

あまり書くとご本人を赤面させて申し訳ないので、これくらいにしておきます(^^

 

 



 

さて今回のリハーサルはアップライトピアノの我が家ではなく、

一応グランドピアノが入っている場所を借りました。

しかし、デッドでね。。

全く響かないのは弾いていて疲れますが、

練習はシビアに聞こえた方がわかりやすくていいとも言えます。

スコアは勉強していても、

実際に3人で音が出ると把握しきれていなかった音を発見して驚いたり、

「そう弾くの!」とドキッとしたり、

まあいろいろでいちいち驚きの連続なのです。 初リハーサルは。

驚き、感動し、混乱して足(いや手)がもつれ自分でも心の中で笑いましたが、

とても楽しいリハーサルでした。

豊かな音楽の中に身を置けるのはなにより幸せです。

 




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経験豊かな長明氏のご指導のもと、

言葉で言われなくとも聞こえてくる表情に合わせてみたらどうなる?の

実験を繰り返しながら、脳はフル回転。

夜は脳疲労でさっさと眠くなりました。

でも気持ちよくぐっすり眠れて元気回復です!

良い音楽には心身を整える力がある♪





 

自由自在な表情には驚いて、どうしたらそんな風に弾けるのだろう?と

考えてしまいます。

自分にできないことはいくら考えても結局わからないけれど、

心に留めて時間を経て答えがいつか降りてくる日を待ち続けたい。

もちろん勝手気ままに思い付きで弾いているわけではなく、

スコアが頭に入った上での選択。

隣で聴いていると、風に乗って、波に乗って音楽が進んでいく心地よさを感じます。

その渦巻くものに心が動かされる。

時には凪の時間も。深い湖の底にいる時もあり音は心の奥底に届く。

音量はもちろん、時間の流れ方のダイナミックレンジに、

音楽の器の大きさを改めて感じる。

そして、技術的なことを完全にクリアしているからこそ、

音楽のイメージの中で遊べる演奏ができることをとても羨ましく思う。






 

不思議なのは、チェロパート譜を見ながらヴァイオリンとピアノに

「そこは、、、」といろいろ提案してくださる。

私なんか、ずっとスコアを傍に置いて見ていないとわからないのに。

何度も弾いているから全て頭に入っているということなのでしょうが、

1回弾いただけで「あそこは、、」「ここは、、」と今起こったことを

膨大に覚えている記憶力にも驚きます。

わたし、このごろ物を取りに行っても「えっとなんだったっけ?」が増えて来た、、。

記憶力低下に悩んでいるのに、彼はそんなことには無縁そうです。

頭使っている人は衰えないのね~。

 




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あら、また長明さんの話しに戻っていました。 失礼m(__)m

一緒に弾ける機会がそうそうある方ではないので、

感激、感動が大きいのです。

その感動をぜひ皆様にお届けしたい!

もちろん、長明さんの素晴らしさだけでなく、

私も刺激を受けて大きく羽ばたきたいと思います!

アジュールの響きが音楽を会場を豊かに包んでくれます。

乞うご期待!






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~コンサートはシックな「オックスフォード」で。

食事の「コートダジュール」も全て借り切りの豪華版の一日~

 

 

 

プログラム内容については後日お話ししたいと思いますが、

まずは日程のチェックを♪

127日(金) 11時開演です。 

平日お仕事の方も、特別な時間を過ごせるこの日、お休みを取ってでも来られていいかも。

1年の締めくくりの時期に、きっと素敵な一日を送れると思います。

お一人でも多くの方のご参加をお待ちしていますm(__)m



 

 

お申し込みは1126日まで。 ペアで申し込まれると割引がありますよ(^^

ナチュロアロマチカ ℡ 0297462810




12/7天上の香りと音楽





大型台風の脅威や季節外れの暑さで撹乱されていましたが、

このところこちらは朝晩の冷え込みが一気に進み、

ハイネックのTシャツを着るようになりました。

数日前まで夏日があったので身体は混乱していますが、

秋は進んでいるようですね。

さて、今日はクリスマス時期のコンサートのお話を。

ハロウィーンが終わったら街はクリスマス色で彩られてにぎやかになり、

そこから一気に年末、お正月へとなだれ込む忙しいシーズンの始まりです。




 

 

その喧騒のちょっと前の127日「天上の香りと音楽」と題したイベントが

ウエディングヒルズアジュールもりやを舞台に繰り広げられます!

この会は、アロマのお店「ナチュロアロマチカ」20周年を記念しての催し。

20周年の節目のお祝いでもありますが、

「香りと音楽の癒しフェア」の第4回目でもあるのです。

ナチュロアロマチカの大木いずみ先生が、

五感をフルに使った癒しの体験を皆様にプレゼントしたい!と

毎回張り切っていらっしゃいます。

私も第1回目から演奏で参加させていてだいて来ているので、

もうすでに主催者側の気持ちでこのイベントの成功を願っている一人。





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~去年のアジュール。快晴の714日でした。~

 

 

門をくぐったところから、日常とは違う光景が拡がる素敵な会場で、

期待が膨らみます。

当日はクリスマスの気分でドレスアップしてお出かけくださいね。

動物のモチーフや真珠のアクセサリーも、ドレスコードの一部となっています。

それだけでも、なんだかワクワクしてきませんか?





 

スケジュールは、

1030開場 ウエルカムドリンクでほっとしていただき、

1100から「華麗なるピアノトリオ」のコンサート。

1220 大木いずみ先生の講演。どこかの時間にアロマの化粧水作りの体験もあ

ります。

1315 特別懐石創作フレンチをフリードリンクと共に楽しむ午餐のひととき。

1515 にお開きとなりますが、

TX守谷駅からの送迎バスもあるので、遠方からの方も安心してご参加いただけます。




 

詳細はナチュロアロマチカのHPを。 naturo-aromatica.greater.jp/

 

私のHP問い合わせフォームでもお問合せください。http://forest-note.com/

 





先日「天上の香りと音楽」のトリオコンサートの初リハーサル。

私にとって初めての大曲もあるので、早めに3名での音出しをお願いしました。

2回のリハーサルは本番直前に。

それまでは、1回目の刺激と記憶をもとに個人で勉強します。






 

今までルナ・クラシカは、毎回ナチュロアロマチカの「香りと音楽の癒しフェア」で

演奏させていただいてきましたが、

20周年記念の今回はスペシャルゲストをお招きしています!

2年半前に「華麗なるピアノトリオの世界」にご出演いただき、

お客様に絶賛されたチェリスト長明康郎氏。

「とても素晴らしかったという噂を聞いたわよ!」と何名からも声を掛けられ、

ぜひまた守谷の皆さんに、いえ守谷を問わず一人でも多くの方に

あの素晴らしいチェロの音色と音楽を聴いていただきたいと願っていました。

今回、このような栄えある機会に再び共演の機会をいただき、

大木先生には心より感謝ですm(__)m




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~昨年の第3回「マリーアントワネット」をテーマにした大好評だった際の大木先生の講演~




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~同じく昨年の白いコートダジュールでの会食風景。~

 

つづく、、、

2018年10月 8日 (月)

スペシャル・ウィーク




1年前にチラシを見て以来楽しみにしていたチョン・キョンファのコンサート。

行って参りました!

105日金曜日。  先週2回目のサントリーホール。

どちらも燦然と光り輝くスーパースターのヴァイオリニスト!

しかもその日の指揮はチョン・ミュンフンで、夢の姉弟共演。

こんな1週間は私の一生に二度とないかも、、、と思う贅沢。





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チョン・キョンファは神童と言われ、私が若い頃から見上げる存在で、

女性ヴァイオリニストの頂点に立つ憧れの人。

一度は生を聴いてみたいと願っていた。

今年70歳を迎えるそうで、未だにコンチェルトを演奏しているというのだから驚異的。

オーケストラをバックにソリストとして演奏するのは、本当に体力が要る。

以前はキョン・チョンファと言えば、

とにかく情熱的で観客を熱狂の渦に巻き込んでくれる人という印象だった。

それはいいとしてもちょっと癖もあるように思い、実は以前はそれほど好きではなかった。

ところがここ数年聴いてみたCDの印象は違う。




 

とても繊細で豊かな表情を持ち、しっとりと心の奥底に届く。

しかもそれは年を取ってからではなく、若い頃のCD

若い頃はわからなかったものが、

ようやくわかるようになったということ?

R.シュトラウスのソナタも、ブラームスのソナタもいろんなものを聴いたけれど、

結局はこの人の持つ繊細な表現に最も心惹かれた。

いつも大好きなデュメイよりも。

なので本当に楽しみに待っていたのです♪ この日が来るのを!(^^)!




 

娘のことは居宅支援を前もってお願いしてあって、

1730に待ち合わせて軽い夕食の後にホールに向かう。

その日は取手に住んでいた時からの友人聡子さんと。

彼女はうちの息子が生まれてから最初に知り合ったママ友で、

最もお互いの家を行き来して親しくしてもらい、

うちの息子も穏やかな俊くんが大好きだった。

ご家族皆さん本郷の大学で学んだ超優秀。

彼女も桐朋の仙川本校の音楽教室出身という音楽のサラブレッド。

音楽の専門には進まなかったけれど、大学オケで吹いていたフルートを今も愉しみ、

知識も豊富で耳もとても良い。

マニアックなコンサートや、ちょっと高価なものやこだわりの演奏会がある時は、

まずは聡子さんの顔が思い浮かぶ。

引っ越して今は家が遠いから、せめてお互いの好きな音楽で会いたいな、、、と思うのよね(^^

逢いたい人との再会の場所に、コンサートという祝祭の場はふさわしい。






 

金曜日のオケは東フィル。

息子が中1GWに、どうしても一度チョン・ミュンフンの指揮を見たくて

一緒にオーチャードホールに行って以来。

(その時のメイン、ベートーヴェンの「英雄」は彼にピッタリ!)

あれから14年以上経つというのに、東フィル事務局は以来欠かさずオーケストラの

コンサート情報を郵送してくれる。 申し訳ないほどに、、、。

でも今回2枚買ったので、14年分のチラシ送付料は十分支払えたとも思ったのでした。(^^





 

席は1128番。つまり、最前列の一番右端っこ。

一般売り出し日の10時丁度に夫にトライしてもらっても(私は生徒さんのレッスン中)、希望の席はすでに売り切れて、弾いている姿を見たいから前の方をというとここしかなく。。

しかし、やっぱりこの席はだめでした。(*_*)

サントリーホールの舞台は中心に向かってなだらかなV字ラインになっていて、

私の席からはソリストは全く見えない。弓の先とドレスの下の方が見えるだけ。

残念!!!

ヴィオラ奏者の隙間から覗く薄めの鮮やかな赤いドレスはとても素敵だったけれど。

この人は70になっても情熱的な赤が似合う。






 

そのお陰で、どう弾いているかの視覚からの情報は一切なしに、

音に集中することができました。

もう一つ良かった点は、近いから生の音が聴けたこと。

ホールの響きでお化粧された音ではなく、「実音」とでもいうべき生の音。

ホールの自然音響で増幅されなくとも、表情の豊かさは伝わってくる。

視覚から余計な判断をするという邪魔がなく(自分で過去の記憶から勝手にする)、

音を聴きながら自由に心は遊べる。






 

世の中には、特に若い人にはもっと完璧に弾く人は山のようにいる。

でも完璧に弾くことにこだわると、心が硬くなって音楽は死んでしまう。

(でももちろん、若い頃は技術の向上に励んでください!そういう時期だから)

余計なことを考えなければ確率は上がる。

それを集中と言うこともあるけれど、

本当の集中はミスなく弾こうとすることではなくて、

音楽そのものにどれだけ深く入っていくかという「集中」を聴衆は求めていると思う。





 

彼女は歌うようにという表現では適当ではなく、

自分をさらけ出して表現すると言った方がふさわしいのかもしれない。

生身の人間が音から伝わってくる。

人を愛し、苦悩し、号泣し、喉を枯らして訴え、傷つき疲れ果て、、、

しかし心からの優しさと憐みを持ち、

ありのままの自分であることを大事にしている人の音楽に私は聞こえる。

そのようにして辿り着く音楽は聴衆を深遠な芸術の世界へと誘ってくれる。

有難い。





 

体調が良いからいい演奏ができるとかではなく、

一生懸命なんて生ぬるいものではなく、

どんな時も全身全霊で音楽に向き合う覚悟が音から伝わって来て、

こちらも同じ覚悟で聞かねば!という気持ち(集中)を体験させてもらう。

どう弾くのか?のテクニックや解釈では説明できないもの、

作曲家への深い共感、

その人の生き様が伝わってくる。

こんな演奏家は、滅多にいない。





 

 

「私は神のために弾いている」

「思った音楽を実現するためには屍を超えてでも、、」

などと発言するオーギュスタン・デュメイ。

怖いくらいの覚悟が言葉からも伝わってくる彼の音は

とてつもなく美しく神々しい。

ギル・シャハムは舞台での溢れる笑顔からも人柄の良さが伝わり、

とても温かい抱きしめたくなるアマービレな音。

音はちょっと暗めながらも、チョン・キョンファの世界もたまらなく魅力的なのだ。

 




この3名の素晴らしいヴァイオリニストに共通して言えると思うのは、

作曲家から音楽の感情表現を託された和声感をしっかり伝えてくれること。

私が気が付かなかったり見落としていた和声の表情が、

彼らの演奏から聞こえてきてハッとしたことは数限りない。有難い。

それはヴァイオリンパートだけでなく、スコアとしっかり向き合っていることの証。

アリーナ・イヴラギモヴァとジョセフ・リンも同じく。

とっても勉強になる。

私はこっちの方向を向いていたい。

目標はどんなに遠くとも、目指す光を放ってくれる存在を頼りに勉強を続けたい。




 

 

昔オケに居た時代、とても頑張り屋さんの友人がチョン・キョンファのことを

「彼女は子供が出来てから演奏を数年休んだのよ。だから信頼できる」と言った言葉が、なぜか心に残っていた。

その時に一番大事だと思うことに集中するということなのか?

その友人の本意はわからなかったけれど、ずっと引っ掛かっていた。

わからないものの、私も同じく続いた一人。

今は女性も皆働く時代になり、現代の時代精神とは一致しないかもしれないけれど。




 

子供を持つと、女性は子育てをすることで自分の時間を大幅に削って生きていくことになる。

マイナスもあればプラスもあり、どう折り合いを付けていくのか、

最終的にプラスに持っていくにはどうするか?も問われるのかな。

選んだ道は修業とも言えるし、

最後には全てプレゼントだったと感謝できるようになりたい。




 

その意味ではまさに、子育ても怪我(5年間完全休業)も

全ての経験を音にしている人なのだと思う。

どういう人生を送って来たのかは知らないけれど、

深い表現からは自分の知らない世界を体験させてもらえ、

何度も聴きたい、その先を聴きたいと思う。






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会場は演奏中物音一つない集中だった。

楽章の合間には我慢していた咳の嵐で、指揮者がちょっと笑うほど。

皆で演奏家の集中を支えていたのですね。

私も娘の風邪がうつって 喉が痛い→咳 の症状になっていたので、

前日に咳止めの薬を買って備えていた。

コンサートは聴衆と演奏家が作り上げるもの。

静かな第2楽章が始まる前は聴衆の聴くコンディションが整うまで、

かなりの時間を待ってくれた。

その合間の時間に、指揮者と楽団員との長年の信頼が感じられる一コマをチラッと見た。

温かいステージ。





 

オーボエの長い長い天国的なソロから始まり、ヴァイオリンソロに渡す第2楽章。

ブラームスの深い温かさを感じ、本当に幸せだった。

ブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴くなら、チョン・キョンファが一番なのかもしれない。




 

後半のサン・サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」は、豪華な編成。

サン・サーンスというと「白鳥」で有名な「動物の謝肉祭」が人気。

ヴァイオリニストにとっては、よく演奏される有名な小品があり身近な作曲家だけれど、それ以外によく演奏されるのは、、?とすぐには思い浮かばない。

私は1番のヴァイオリンソナタも大好きだけれど、フランクやフォーレに比べると

断然演奏される機会が少ない。

時代の要望と作風が合わなかったみたいで、評価が難しい作曲家とされるが、

もっと演奏され、もっと聞かれていいと思う。





 

サン・サーンスはオルガニストでもあったので、

オルガンが鳴らない個所でもオルガン効果を感じる荘厳な瞬間がある。

メッセージが重なり合うフーガの箇所にも荘厳さがあり、

私は平和への祈りの気持ちを抱いて聴いていた。

気候変動、異常気象、災害、経済の駆け引き、戦争、貧困。

とても不安な時代を生きている私たち。

素晴らしい音楽には、心だけでなく魂を浄化してくれる力がある。





 

日常の悩みや不安から解き放たれ、

今目の前で繰り広げられる音の世界に奏者と共に集中し、

音を通してその人が届けてくれる真摯なメッセージを受け取る。

聴いている瞬間は、奏者と自分しかいないような静寂にいるけれど、

一旦曲が閉じると万雷の拍手の熱気に

そこに居た人が似たような体験を共にしていたことに驚き、汗ばむほどに熱くなる。

この日もブラヴォ~の嵐だった。

この熱は明日からを生きるための確かなエネルギーになる。

だから私はコンサートに通う。

まるで音楽の神様に逢いに行くように。




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2018年10月 3日 (水)

台風一過のサントリーホール





猛烈な台風24号が夜中にやってきて眠れなかった日曜日。

台風一過の月曜日は季節外れの真夏日。

なにはともあれ、サントリーホールでのコンサートは無事開催され、

良かった良かったでした♪





 

「マキシム・ヴェンゲーロフのリサイタルの無料招待券があるけれどどう?」って

親友絵理ちゃんからメールが来たのは、二日前の土曜日。

そりゃもちろん行きたい!

好みではないけれど、、、世界最高峰と言われているヴェンゲーロフ、

やっぱり一度は聴いてみたい。

出かけていた夫にメールで尋ねて、早めに帰って来て娘をバトンタッチしてもらえることを確認し、即「ありがとう。お願いします!」の返信。

ヴェンゲーロフもまるで台風のようにやってきた。





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久しぶりのサントリーホールの前は、とても華やかな雰囲気。

チケット代が高いせいか、気合を入れてお洒落して来ている人が多く、

始まる前から期待感が溢れていた。

プログラムはオールブラームス。

ソナタの第1番と第2番が前半で

後半はFAEソナタと第3番を。

アンコールは、ハンガリー舞曲第2番と第5番。

ヴェンゲーロフの真骨頂である超絶技巧の持ち味を生かした

緩急自在なハンガリー舞曲第5番は、

本当にジプシーが弾いているような自由奔放さで、

客席は一番盛り上がった。




 

 

通常のクラシックコンサートに比べて客層が若い。

もちろんヴァイオリンを勉強しているお嬢さんたちや学生さんもたくさんいたけれど、

クラシックファンの核となるシルバー世代が少なかったのでした。

私もこんな高額なコンサートはよっぽどでないと行けない。

今回は本当にラッキー!



 

 

知人から招待券が回って来た、、と誘ってくれた大学時代の親友絵理ちゃん(3月のブログ「バッハの世界」ジョセフ・リンのコンサートも一緒に)と、

コンサートの合間にはヴァイオリン奏法談義に花が咲く。

ヴェンゲーロフの技術の素晴らしさは考えても想像がつかないけれど刺激受けて、

自分は自分なりに考え研究していることを絵理ちゃんに話してみたくなる。

彼女はご実家がヴァイオリン教室を営んでいる生粋のヴァイオリニスト家族の長女。

幼い頃からずっとヴァイオリンと共に歩んできて、研究に余念がない。

5から始めて本気になったのは高2で、途中で長いことやめていた私とは大違いで、

ヴァイオリンがすっかり身体の一部となっている尊敬する友人。

昨年亡くなられたお父さまから「そんなことはいいから練習しなさい」とよく言われた

という話を聞いた時、

私は親からそんなこと言われたこと一度もなかった!とその環境の違いに驚いた。






 

お互いの背景は違っても、大学入学時に寮で隣の部屋になり(高校の頃から学生コンクールで知ってはいた)、笑って悩んだ濃い4年間を共に過ごし、

卒業後も長年お誕生日おめでとうカードやメールを交換し、

お互い違う苦労をしてきたことも理解し、

折に触れて会うことができる親友は本当に宝物。




 

 

「会ったらすぐに奏法の話しになるのはサリーらしいね」

(中高大“サリー”は私のニックネーム)と翌日のメール。

「こういうのって相手あってのモノだものね。

大学時代から変わらないのが愉快よね☆」とも。

いつも真剣にヴァイオリンと向き合う彼女だからこそ、聞きたいこと、

私が今ようやくわかったことなどつい話してみたくなる。

そんな彼女と大事な演奏会を分かち合えることを幸せに思う。

「演奏会の翌日って夢の中で一日が過ぎちゃうね.。」という詩的なコメントも

彼女ならでは。  ホント、そうよね~♪




 

 

マキシム・ヴェンゲーロフは33歳で肩を壊して一旦引退したのち、復活。

ヴァイオリンをお休みしていた間に指揮や指導で活躍し、

再び演奏に戻って来た時はさらに素晴らしくなってファンを喜ばせた。

世界で一番出演料が高いヴァイオリニストという噂もあり、

実力と共に絶大な人気を誇る。





 

もともと好みではないと言いながらも、

実物に接するとステージから人柄も伝わって来て、

発見がたくさんあったのでした。

演奏後の笑顔のトークでは、ご自身の所有するストラディバリウスの話しや、

その日のコンサートへの感謝などが語られ、

演奏とおなじように伝えたいこと、分かち合いたいことが溢れるように伝わって来る。

素敵な人なんだな、、、と思う。 

生はいいなあ。

CDや動画などではわからない言葉にならない情報が空気から伝わる。

丸ごとその人が伝わって来て、ホールは祝祭となる。



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弾いている姿からは深く深く集中し、内側は炎のように燃え、

どこか武士の真剣勝負の間合いを感じることがある。

深い静けさと、鋭い切れ味と、とてつもないパッションと使命感。

この人も唯一無二なのだ。

 



 

1番ソナタの出だし。

さあどう来るか?と構えて待った。

驚くほど小さな柔らかい音でピアノが始まり(ピアノの蓋はずっと半開のまま)

ヴァイオリンもdolce(優しく)というよりもsotto voce(ささやくように)の質感で始まる。

この第1楽章は各所にドルチェの指示が書かれていて、

作曲家が意図したのはどんなドルチェなのかは悩むところ。

ヴェンゲーロフはどちらかというと荒々しいほどに情熱的な人という印象があったので、

とても驚いた。

故障で休んでいた間に何かが変わった?

当然そうよね。




 

 

リサイタルを行うには大きすぎるサントリーの大ホールでは、

さすがのヴェンゲーロフでも聞こえないか、、、と思われるほど柔らかい音を選んで始めたのは冒険にも思えたけれど、そこは百戦錬磨のソリストの経験から来るもの。

何か意味があるはず。

全体に柔らかい音色を中心に組み立てられ、ヴェンゲーロフなのに意外に思った「雨の歌」。

私にとっては思い入れのある作品なので、

細かいことをどうするのか気になって聞いていた。

やっぱり楽しむというよりは、何を考え、どんなアイディアで?と分析的に聴いてしまう。

各所解釈は違っても、第3楽章の最後は同じ言葉が響いて来た。

作品背景のイメージは共通点が多い。

プログラムの解説も、彼自身が書いているように思う。

共感するとても素敵なプログラム。




 

 

2曲目の第2番のソナタは楽器を替えて。

その日のコンサートは実は二つのStradivariusでという企画。

黄金期(17001720)の「ハンマ」と円熟期 (17201730)の「クロイツェル」。

クロイツェルの方は彼所有の愛器だそうで、むしろ意外だった。

ヴェンゲーロフの音のイメージは、むしろハンマの方。

華やかで強くて輝きのあるハンマ。

優しい響きのクロイツェル。

同じ作者の楽器を同じ奏者が弾いてもこんなに違う!

以前の彼ならハンマを選ぶだろうと思う。

故障という挫折を経て変化して出会ったから、

今の音(楽器)を愛しているのだろうと想像する。

人は苦難を得て大きく成長する。




 

 

静と動をダイナミックに弾き分け、

さすが「帝王」の異名を取るだけある堂々とした風格は、

有無を言わさない自信に溢れていて聴衆を圧倒する。

真のソリストの力を見せつけられた。

 

そう、ソリストの演奏とはそういうものだろうけれど、

自分の理想として頭の中に鳴るものがあまりにも強すぎて、

ピアノとのアンサンブルが悪い。

ピアノのことは聴いていない。そんな必要はないってこと?

リサイタルを聴きに来ているのだから

彼だけ聴いていればいいのだろうけれど(結果私もそうなってしまう)、

ピアノは伴奏、背景でしかなく、

作品全体が見えてこない気がしてしまうのだ。

そこに私の不満がある。

ピアニストもとても力のある人だけれど、

必死で察知しながら苦労してついて行っているという印象だった。

以前TVで観た別のピアニストとのフランクのソナタも同じだった。




 

 

作品世界を楽しみたい者にとっては、ソリストの強さはもろ刃の刃。

本来ピアノの方に主体があるヴァイオリンソナタは、

室内楽としてピアノとのやりとり、

スコア全体を読んだ上での表情の選択、

二人で創り上げるものを私は聴きたいと思う。

ここが好きでない理由。

でもね、これはヴェンゲーロフのリサイタル。普通なんの文句もない。

あなたなに言ってるの?当り前じゃない!という声が聞こえて来そう、、、。

私は全般的なヴァイオリニストサイドの聴き方ではない。(ちょっとピアニスト寄りかも)

でも好みやら、その時その時のこだわりやらは、個人特有のものだからね~。

 



 

そのことを除けば(いや、ほんとうは私にとってはすごく大きなことなのだけれど)、

ぐいぐい引っ張る前進力、

2番の第2楽章のクライマックスでの高音の撚り合わせた金糸のような美しさ、

3番の第2楽章のG線の深い音、

ブラームスらしさにふさわしい豊かな重音、

どれをとっても忘れられない音と表現で、

世界最高峰の素晴らしさを堪能して参りました。

ヴァイオリン音楽の裾野にいる者は、

見上げる山の高さ美しさにため息が出る。





 

一つその日に発見したのは、

1番ソナタと、さらに若い頃に書かれたFAEソナタを柔らかい音色のクロイツェルで弾き、

2番と第3番のソナタを力強いハンマで弾いたことでの印象の違いから、

作曲家ブラームスは第1番のソナタを境に心境の変化があったのではないか?と

思い当たったこと。




 

 

1番「雨の歌」は、敬愛するクララの一番下の息子が亡くなったことに対する慰めの気持ちが第2楽章に託されている。

1楽章も第3楽章も全て、クララへの愛と思いやりに溢れている

クララへの手紙のようなソナタと私は捉えている。

14歳も年上のスターピアニスト クララに対して、ブラームスが出会ったのは20歳の頃。

最初は息子のように可愛がってもらいつつも、彼は尊敬とともにクララに恋焦がれ、

激情は次第に落ち着くものの、その愛は一生変わらなかった。





 

「雨の歌」を書いた頃のブラームスは、念願の交響曲第1番を成功させ、

続いて喜びに溢れた第2番の交響曲もすぐに出来上がり、

作曲家としてエネルギーに溢れ名声も高まり収入も安定し

真の自信に満たされた幸せな時期。

母のような姉のようにも慕ってきたクララに対して、

この時初めて同等の人間として対することができたのが

このソナタではなかったか?とふと思った。

まだまだ勉強中なので、真相はわかりませんが。




 

 

一人の作曲家の作品だけ並べる演奏会は、作曲家に逢いに行くようなものでもある。

私もブラームスへの愛がますます深まった気がします。

ヴェンゲーロフさんありがとう!

これからも身体を大事にして、世界中の人を楽しませてください!

そして、誘ってくれた絵理ちゃんと、この巡り合わせに心から感謝!




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~久しぶりに銀座線を上野で乗り換えたらホームがきれいになっていて、

しかもパンダ! シャンシャンに会いたい♪~

 

 

一旦全快したと思って社会復帰した娘でしたが、

 

昨日施設から帰ってくると咳と喘息音がひどくなり、血中酸素濃度も下がっている!

 

今日は再び自宅療養です。。

 

遠慮なく目の前でゴホゴホする娘から、夫も私も風邪がうつって喉が痛い。。

 

金曜日娘は遠足、私は日中リハーサルと夜はチョン・キョンファのコンサート

 

(今度はブラームスのヴァイオリン協奏曲♪)なので、

 

同じく無理せず体調を整えています。

 

この1週間、看病、台風、その他もろもろで私も睡眠負債がたまり続けている。

 

そんな日はブログ日和なのでした。

 

ヴェンゲーロフのコンサートも咳やらくしゃみの人が多く、

 

前半の客席はひどい状態で気の毒だった。

 

台風や気温変化で体調を崩している人が多いと思うので、皆さまお大事に。

 

 

 

 

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~サントリーホールにアクセスする溜池山王のホームは、駅から音楽が始まっている♪~

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