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2017年9月

2017年9月28日 (木)

爽やかな朝

 

 

もうすぐ「ひよっこ」が終ります。

日曜日は放送がないから月曜日の朝が待ち遠しかったほど

楽しみにしていました。

 

 

 

 

朝ドラなんて、ヒマな主婦が観る番組(失礼!)、、、と

かつては思っていた私ですが、

3年前だったかの夏の終わりに「花子とアン」(昔「赤毛のアン」が好きだった)を

見てハマってしまい、

その後は「マッサン」「まれ」、、、とすっかり朝の行事になっています。

 

 

 

 

ただし、じっと見ているのはもったいない!ので、ラジオ体操とストレッチをしながら、

ずっと立ったままです。

落ち着きがない?  それとも貧乏性?  欲張り?

 

 

 

今回の「ひよっこ」は何がいいって、

出てくる人がみんな気持ちの良い人ばかり。

そしてハッピーエンドの嵐。

普通はこうはいかないでしょう!有り得ないでしょ!と言いたくなる気分は横に置いて、

心から祝福したくなる気持ちにさせてくれます。

画面からは、終盤になればなるほど

出演者同士がますます番組を大事にしているように見えて来ます。

長丁場の撮影だろうから、

いつも一緒に仕事をする共演者は家族のような親しさを帯びてくるのでしょうか。あるいは、長い撮影期間の戦友としての連帯感?

長いからこそ終わりが意識されるとますます残り時間が愛おしくなるような空気感を、

俳優さんたちの目から感じます。

その一つ一つが温かくて、、、。

朝から幸せをもらって一日を始められる元気を、

このドラマからもらったかな?と有難く思います。

 

 

ストーリーの運びは単純かもしれないけれど(特に終りかけはいつも、、)、

それでもいいんじゃない?と素直に思ってしまう私も能天気?

すっかり慣らされている?

いや、朝からごちゃごちゃ考えたくないんです!

この中では安心していられる。

子供の絵本の世界のように。

大人にも、そういう時間が一日にちょっとくらいあってもいいよね~。

 

 

 

「マッサン」の時もだったけれど、

朝の始まりの15分という短い時間に、心をマッサージしてもらっている感じ。

地震、異常気象、豪雨、Jアラート、、、、様々な社会の不安、

自分の生活にも心配ごとが起きる、嫌なことも起きる、、、

日常生活には大小いろんな波風が立ちます。

心の中に立つ波風に気持ち悪くなって酔わないように、

波にのまれて転覆しないように。

船の上でしなやかに波に乗れるように、

準備体操で身体をほぐし、

朝ドラで笑ってちょっと涙して心をほぐし、

さあ今日も一日頑張ろう~!の気分にさせてもらっています。

 

 

 

 

ああ ひよっこが土曜日で終わるのが寂しい~。。

昭和レトロが好きなうちの夫も、

今回番組前半の舞台だったトラジスタラジオの工場の風景を見て

懐かしさがこみ上げて観たくなったらしく、

それ以来録画して毎晩観ています。

夫婦で話題が増えたのも楽しかった(^^

 

 

Photo

 

 

 

決まったドラマは観ない我が家ですが、これだけは別枠。

短いしね♪

私は毎日夕方1830に練習を終えると、

ニュースを見ながらトランポリンを5分飛び、

2045からはお風呂のお湯を入れながら15分踏み台昇降でステップを踏むのが、

毎日の運動日課。

決めた時間にテレビをお供に動くことに決めていると、

楽々でちょっとしたエクササイズができます。

 

 

 

 

しかし、このところ脚の筋肉の衰えも感じて来て、

さらに老化の下り坂を降りているような、、、。

どこかでスクワットも日課に入れるかな?

やること多いけれど、短い時間のものを生活に散りばめて、

努力と思わずにちょこっとやるというスタイルで、

何とか体力を維持しようと目論んでいます。

いつまでも娘の介護を頑張れるように、元気でいなきゃ(^-^)

 

 

 

気が付くと、どれもNHKがお供みたい。。

実家が真面目なNHK派でしたので(^^;

すっかり刷り込まれているようです、、、ね(笑)

いや、今は朝ドラよりも衆議院選が何よりの注目です!

とはいえ、お楽しみも大事♪

 

2017年9月21日 (木)

秋をみつけて

 

今年はさっさと秋が始まった感の関東地方。

先日の台風一過では、また暖かい風がやってきて夏が一瞬戻りましたが、

やはりすっかり秋空です。

身近な秋のしるしを見つけては、移ろいゆく季節を愛でる。

日本人でよかった~♪と思う季節です。

 

 

 

我が家の小さな庭の中で一番大きな木は、やまぼうし。

この樹から毎年秋が始まります。

この子は、お盆が過ぎると決まって葉っぱを落とし始める。

まだ暑いのに~。

でも、まるでカレンダーを持っているかのように、

ほぼぴったり毎年815日あたりから落葉が始まります。

それを見ると、暦の上の秋が本当のことに感じられます。

 

 

その後も続々と秋のお印が出現。

今年は紫式部がたくさんの紫の小さな実を付けました。

しばらく楽しめます。

 

 

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今週の水曜日には、娘がバスで帰ってきた時にふと見ると、

万作が黄色い葉を道路に一枚落としていました。

さっそくゲット!

家の中に持ち帰ります。

そして、秋を飾る。

そういう小さなことが大好きなわたし。

 

 

 

旅行もままならないし、自由に好きな時に出かけられるわけでもなく、

娘の体調に合わせて生活しているうちに、

私も足元の小さな幸せを見つける達人に育ててもらいました。

 

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~昨日切って家に入れた枝の葉は、今日はすっかりしおれてしまい、

紫の実だけを集めてみたら、キャビアみたい♪~

 

 

特別なことがなくても、

日常の中に小さな嬉しいことをみつけて、

小さな変化を喜んで、

それで十分幸せだと思えるようになったのは、

重い障害のある娘のおかげです♪

 

 

 

彼女は何が食べたいかさえ、声に出せない。

「ん~」でほぼ済ませ、たまに指さして、表情で意思を伝えるけれど、

細かいことは伝えられません。

それでも与えられた生活の中で穏やかにご機嫌よく過ごす姿は、

菩薩にさえ見えます。

受け入れること の達人とも見えます。

そんな彼女が健気でますますかわいくて、

守ってあげなきゃ!と母心がまた動きます。

 

 

 

私も幸い勉強が好きな性質なので(というか、そうなった)、

地味な今の生活を愛しています。

一つ一つを慈しみながら、

毎日の生活を大事に暮らすことは、

一つ一つの音を吟味して、

じっくり味わって弾くことと似ている。

 

 

私の音は、確実に娘との生活から影響を受けている、私だけの 

いえ、私と娘ものです。

それを本番で放ちます。

その時は、その場にいるすべての方と共有する音になる。

 

また聴いてくださいね(^^

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~追加写真。9月24日小貝川フラワーカナルにて。

今限定の彼岸花を家族3人で見にお散歩。

夫の作品~

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~自宅から車で15分のところに拡がる景色に心も緩む。

ほどよい田舎に住む幸せ♪~

 

2017年9月17日 (日)

葡萄色のドレスで

 

 

金曜日 9月朝コン、あっという間に終わりました。

リハーサルのスタートも今までで一番遅く、

しかも3回のリハーサルでの仕上げという最短コース。

北国の短い夏のように駆け抜けました。

でも、密度の濃いリハーサルを楽しみ、

本番もなかなかハードでした。

 

 

 

まず、Jアラートで始まった落ち着かない当日の朝。(茨城県なので)

私は「とにかく、本番だけはさせて~!」と家で叫んでいました。

慣れるのもよくないけれど、

何度もこういうことがあると「またか、、」の気分になりかけています。

でも、中には「一日中なんだか落ち着かなかった、、」との声も聞かれ、

迷惑この上ないですね。。

 

 

 

そんな中、朝コンに来てくださった皆様、

本当にありがとうございましたm(_ _)m

ロシアとノルウェーの作曲家の作品をお楽しみいただき、

コンサート後に気分が変わっていましたら嬉しいです(^-^)

 

今期から、月ごとに一つのチームが1時間を担当し、

入り口にはプログラムのイメージの飾りでウェルカムコーナーを置き、

演奏者が楽しんで仕立てております。

 

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今回は、ピアノのMizueさんが、このコーナーを担当。

ロシアのマトリョーシカはわかるとして、

このちょっと不気味なような面白い人形、なんだかわかりますか?

ノルウェーの妖精トロルは、こんな顔しているんですよ!

グリーグの家はトロルが住む丘の意味の「トロルハウゲン」と名付けられていますが、

彼の家の隅っこで、庭先で、こんな土着のいたずら妖精と出くわしたら

面白いでしょうね(^-^)

 

 

私は朝の到着が遅れ、バタバタとゲネプロ。

最後のリハーサルから1週間たっているのに全部は弾けず、

ゲネプロ後20分で支度をしてすぐに本番。

しかも1時間通して。

心身ともに、なかなかハードでありました。。

 

 

 

前日の夜に気が付いたんです。

そうだ!

明日はGP後、休憩はほとんどなく、すぐに全部弾くのだと。

エネルギー配分もよくわからず、

アタフタしましたが、それも勉強。

結果は、朝からいきなりターボふかして運転した気分。

午前中で一日のエネルギーの大半を使い果たし、

午後はもぬけの殻状態でした。(*_*;

 

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~当日お配りしたプログラムと、フルートの末吉さん作の「おまけ」と、

私が書いた「解説」の3点セット~

 

 

大事に弾いた繊細な「白鳥」。

子供のころバレエが大好きで、チャイコフスキーのバレエのレコードをかけて、

踊っていた私。

ようやくオデットになれたかな~?

(いや、トシが、、、という声が聞こえてきそう)

 

 

 

3つのエネルギーがある時は集約され、あるときは四方八方に発散された

熱演の「ピアノトリオ」。

本番ならではの熱い瞬間がたくさん出現。

丁々発止を楽しみました♪

 

 

 

セリョージャ(ラフマニノフ」とヴェーロチカの淡い初恋の「ロマンス」。

3部に分かれる中での冒頭の部分、

コントラバスがそれはそれは優しく

ヴァイオリンとオクターブユニゾンで奏する繊細な音は、

正面からは「好き」とは言えなかった若き日のセリョージャの優しい姿を思いました。

 

 

 

北欧の静けさが広がる「最後の春」。

シンプルなのでどうかな~と少々気になっていましたが、

録音を聴いてこれはこれで一つの世界があった、、、と思いました。

 

 

 

海と歌と踊りと星空と炎と、自然と共に生きるエネルギーが詰まった「ソナタ3番」。

個人的にはいろいろ反省点多々ありでした。

思い切りも悪く、かといって丁寧にも弾けず、いろんな意味で中途半端。

もっと素敵な作品なのに。

どこがどうだったのか、その後も考え続けています。

 

 

 

全体は、振り返っても良いプログラムだったなあ、、、と懐かしくなるほどですが、

演奏の出来はいろいろ。。

毎回そうですが、

とてもうまくいったと思えるものと、

反省が多いものと。

全てがうまくいくことはまずあり得ないけれども、

悔しいことは後ではその方が成長の糧になってくれます。

いや、しかし今は悔しい方が大きい。

とは言ってもそれは個人的な問題で、

素晴らしい共演者との本番は面白く、

自分の不手際があってもまた録音を聴きたくなるのです。

お客さまにも何かしらお届けできていましたら幸いです。M(_ _)m

 

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~末吉さんのおまけの中身はこんなに充実!今回はラフマニノフでした♪~

 

 

また「北国の、、、」のプログラムやろう!と

終演後の打ち上げランチで盛り上がり、次のことを考え始めました。

北国の春になるのか?(誰かの歌みたい?)、

あるいは秋になるのか?

北国チームの第2弾、どうぞお楽しみに♪

 

 

 

次回、私の朝コンでの登場は、

1215日(金)の第124回です。

タイトルは「クリスマスの贈り物」

こちらも素晴らしいソプラノ、ピアノ、チェロとの共演で、とても楽しみ♪

早速昨日の夕方から本格的に取り掛かりました。

今日はピアノパートも弾いてみて、勉強を楽しんでいます(^^

ぜひ今からカレンダーに書いておいてくださいね!

また朝コンでお待ちしておりますm(_ _)m

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~朝コンをいつも大事に想ってくださるお客様から、

演奏者3名にお花をいただきました。

私たちの葡萄色のドレスにぴったりのアレンジメント! 

写真よりも実物は、もっとシックな色合いです。

ありがとうございましたm(_ _)m~

2017年9月12日 (火)

9月15日朝コンプログラムノート・2

 

プログラムノート 後半です。

*エドヴァルド・グリーグ 「最後の春」op34 二つの悲しき旋律より

(弦楽合奏用に編曲された二つのヴィニエの歌)(1880) ピアノトリオ編

 

「ペール・ギュント」でお馴染みのノルウェーの作曲家グリーグ。

日本では「過ぎにし春」と呼ばれて、弦楽合奏の名曲としてよく演奏されるこの作品は、本来の意味は「最後の春」であるようです。

2年間何も作曲していなかった想像力を失った状態から、ようやく脱却するきっかけとなったのが、本作品を含む歌曲「ヴィニエの詩への12の旋律 op33」。

歌詞の内容は以下のものです。

 

 

~私がこの春の息吹に見るのは長い間なくしていたもの

だが私は憂鬱に自分にこう問いかけるだろう「これで最後なのか?」

なるようになればいい、私はそれでも生命の息吹を感じるのだから

この春を味わいつくし そしてすべてが終わるのだ~

 

 

人生の終わりの寂寞感、それでもどこかに残る春という季節に重ねる生への憧れ、

そして北欧独特の拡がる静けさ。 

ここにしかない世界をどうぞお聞きください。

 

 

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~グリーグの家から、庭と海を眺める~

 

 

*ヴァイオリンソナタ第3番 ハ短調 op45 (18861887

 

 

1885年グリーグは、ようやく自分の家を持ちました。

グリーグの家は、ノルウェーの妖精トロルが住む丘という意味の「トロルハウゲン」と呼ばれています。

その場所については、指揮者の矢崎彦太郎氏が書かれたものから引用させていただきます。

 

「ノルウェー第2の都市のベルゲン市郊外で、ノルウェー海に突き出た半島突端の高台を占有する孤絶した家屋は、温もりのある木造で、大きく取られた窓からは眼下に拡がる海を一望のうちに収められる。ノルウェー放送管弦楽団の首席客演指揮者を務めていた30年ほど前に何度か訪れた印象深い家の辺りは、彼が作曲したピアノ協奏曲の主題を髣髴とさせる澄んだ空気と透明な光に包まれていた」

 學鐙 vol.114 No2より  丸善出版株式会社

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ソナタの3番は、この家に越してきてから間もなく着手されています。

フィヨルドとノルウェーの自然をこよなく愛したグリーグは、

自然から多くのインスピレーションを得ました。

この場所の最初の印象及びその時の心境が、

この作品にも表れているように思います。

グリーグの日記にもこう書かれています。

「この土地が、私に命と情熱を与えてくれたのだ。

この地を、私の音楽の中に蘇らせねばならない」。

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 以下、演奏者の勝手なイメージです。

曲から何を想像するかは聴く方それぞれの自由ですが、

演奏者は実はこんな風景を思い描いていると知ると、

より楽しんでお聞きいただけますでしょうか、、、。

 

 

 第1楽章は目の前に広がる北の海。

波しぶきがあがり、荒れる波。

ある時は光がさして穏やかな海面、風が強くなりさざ波が立ち、

遠くから嵐が近づいてくる。

大地から眺めるているだけでなく、船に乗って実際に波を身体で感じているように思うところもあり、自然描写に優れていると感じています。

そして、この景色を眺めながらグリーグは何を想っていたのかを想像します。

 

 

2楽章 歌と踊り、そして星空の夜。

この楽章に関しては、音楽之友社から出ている「グリーグ その生涯と音楽」に、以下のような興味深い記述があります。

「第2楽章の音詩は、再び最初の主題に戻ると、まるで重力が取り除かれたようだ。ほとんど地面に着地することなく、我々は幅広い和音を通して別の世界へと導かれる。ここでも彼は、同じ素材によって全く違う世界を生み出している。」

 

 

 

 第3楽章、炎と生きる力の音楽

アクセントを伴うリズムの音型。チラチラと燃える炎。大地に響く力強い足音。

我が家を持ったグリーグの確固たる自信と意志、

未来に向けての意欲さえ聞こえてくるようです。

自身の健康問題、希薄になった夫婦関係、作品の評価、ここに来るまでに多くの悩みがあったグリーグにとって、ようやく落ち着ける安心の我が家。

グリーグは家の建築に心力を注ぎ、愛する家を「自分の作品」と呼びました。

しかしすぐに、静けさを求めてこの家で作曲しては、

再び新しい刺激を求めて旅に出ることを繰り返すようになります。

 

 

 

3楽章にも大海原が出てきます。

しかしそれは1楽章のような荒れ狂う海ではなく、力強くも希望を感じる太陽に照らされた海の風景。

グリーグは第1楽章で波に立ち向かい、第2楽章では安らぎを経て静かなエネルギーを新たに蓄え、最終楽章では同じ海の波に揺られても、悠々としているように思うのです。

ここに、ソナタ形式を借りて3つの楽章を経て成長する素材(作曲者)を感じます。

 

 

 

 このソナタは、いくつかの素朴なモチーフとゼクエンツによる展開と和声の変化という見かけは小さな要素をもとに構成され、演奏には大きなエネルギーと豊かなインスピレーションが求められています。

 

 

文責 Mori Hiromi

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~グリーグの家。「トロルハウゲン」~

 

 

 

参考文献

・「伝記 ラフマニノフ」 ニコライ・バジャーノフ 音楽之友社

・「グリーグ その生涯と音楽」 アーリング・ダール 音楽之友社

・「チャイコフスキーわが愛」 バランシン・ヴォルコフ 新書館

・「チャイコフスキーがなぜか好き ~熱狂とノスタルジーのロシア音楽~」 

                   亀山郁夫  PHP新書

・「作曲家の生涯」  ハロルド・C・ショーンバーグ 共同通信社

・クラシック音楽史大系  パンコンサーツ

・「音楽家の家」  G.ジュファン、C.バスタン、J.エヴラール  西村書店

・「音を編む14」矢崎彦太郎「學鐙」夏号vol.114No.2  丸善出版株式会社

 

2017年9月11日 (月)

9月15日朝コンプログラムノート・1

今回は、今週金曜日の朝コンの解説を事前公開します。

遠くに住む友人たちには、「今回こんな内容なのね~」と想像してもらえると嬉しいし、

これを読んで「行ってみようかな~?」と思ってくださる方が現れたら

尚嬉しい

どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

 

121回つくば朝のサロンコンサート 2017915日10:30~アルスホール

「北の国の晩夏」 プログラムノート

 

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~チャイコフスキーという名のバラ。

黄色味を帯びた花弁は、咲き切ると真っ白に。

今年の6月茨城県フラワーパークで撮影~

 

*ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 「白鳥の湖」op20

2幕より「グラン・アダージオ」(作曲年18751876

 

ロシアの作曲家チャイコフスキーは、金細工職人のように繊細な仕事をする人でした。

感傷的で美しい旋律は、彼独自の色彩豊かな和声に彩られ、

ダイレクトに感情に響いてきます。 

音楽のようにチャイコフスキー自身が、

非常に細やかな感性の優しい人物であったようです。

 

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白鳥の湖は、チャイコフスキーにとって初めてのバレエ作品。

しかし初演は失敗し、その成功は残念ながら彼が亡くなって後のことでした。

悪魔から白鳥に姿を変えられたオデットが、人間の姿に戻れるのは夜だけ。

その魔法を解くのは、王子の純愛。

暗い湖のほとりで、オデットは悲しい自分の身の上を語り始めます。

音が描く繊細な感情のドラマを、ヴァイオリンとピアノで演奏いたします。

 

 

 

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*セルゲイ・ワシーリエヴィチ・ラフマニノフ 

ピアノ三重奏曲第1番 「悲しみのトリオ」 (1892

 

 

同じくロシアに生まれたラフマニノフは幼い頃おばあちゃん子で、スケート狂、

そして大変な腕白坊主。

裕福な家庭に生まれたものの家は傾き、叔母に預けられ、

14歳で音楽の才能を見出されてモスクワ音楽院に入ります。

音楽院時代の最初の4年は厳しい寮生活でピアノ漬けの毎日でしたが、

作曲に励みたいために寮を出て下宿し、

19歳のころにこのトリオを書いています。

生涯熱烈に崇拝したチャイコフスキーの、

ピアノトリオ「偉大なる芸術家のために」に触発されて、この作品は生まれました。

そしてチャイコフスキーも若いラフマニノフの才能を大変高く評価し、

彼のバレエ音楽「眠れる森の美女」のピアノ連弾譜を、

ラフマニノフに任せています。

ラフマニノフの1番のピアノトリオの出だしに繰り返されるテーマ「ソラシレ」は、

奇遇なことに、チャイコフスキーの有名なピアノ協奏曲第1番の出だしの反対、

鏡の形をしています。

ここに、チャイコフスキーへの憧れを見ることもできます。

ラフマニノフのトリオ第1番は誰に献呈したものでもない習作ですが、

2番のピアノトリオは、この翌年に急逝したチャイコフスキーに捧げられました。

本作品の最後は、静かな弦のユニゾンの下で葬送行進曲がしめやかに流れ、幕を閉じます。若き日の意欲溢れる作品です。

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*ラフマニノフ  ロマンス(原曲 6手のための ピアノトリオ編)

作品番号なし  (1891

 

このロマンスは、まだセリョージャと呼ばれていた18歳の夏の思い出の作品。

この前の年から、イワーノフカでスカローン家の3姉妹と過ごす夏を送りました。

その3姉妹が演奏するために、6手という特殊な編成になっています。

そして、一番下の妹ヴェーロチカとは淡い恋が芽生えていました。

大変興味深いのは、このロマンスの出だしは、

この10年後に作曲されるラフマニノフの代名詞ともいえるピアノ協奏曲第2番(スケートの浅田真央さんがソチオリンピックに使った)の、

2楽章の始まりと同じこと。

交響曲が酷評され失意のために鬱病を発症し、

作曲できない苦しい日々を送った後に生まれた名曲ピアノ協奏曲第2番。

懐かしい土地の自然、思い出の人々、若き日の自分、そして初恋。

温かく生き生きとしたものがここから流れてきて、彼の再生を支えてくれたのかもしれません。

つづく。

2017年9月 9日 (土)

北の国の晩夏 どうぞお待ちしています

 

9月になり、今年の関東地方は早々と秋の気候です。

例年だと こんなに暑いのに地域の中学は運動会!と

心配になるような残暑の第1土曜日ですが、

今日はちょうど嬉しいお天気ですね(^^

 

 

 

9月もお彼岸まではまだまだ暑いだろうから、

北の国の音楽で涼しい空気と熱い気持ちの両方をお届けしたいと思い考えた、

来週金曜日の朝コンプログラム。

いや~ もうすっかり北の国と同じ気分の涼しさです。

 

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 ~30年以上前に西武でみつけて買ったこの焼き物の音楽隊。

ヴァイオリンは弓が折れてしまい、つまようじ。。~

 

 

 

昨日は会場リハーサルを行って来ました。

大きい会場で弾くと、家で弾くよりももっと音を出そうと思うだけでいつもと違い

(家ではうるさくて、そう全開では弾けない、、)

ピアノも大きいので大音量で鳴り響き、つい張り合ってさらに頑張ってしまい、

いろいろほころびが生じます~~。

まだまだだな~、、、とがっかり、そして反省しつつ、

よく響く本番会場での練習だからこそ拡がるイメージを得て、

さあラストスパート頑張ろう!の気持ちを新たにしました。

いつも直前2週間で別人になる私です。

とにかく、最後は細かいところを詰めていかなければ。

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 ~1曲目の白鳥を弾いているところ。オデットになりきれるか?~

 

 

 

間違うことも、音程が外れるのも恥ずかしいけれど、

ただ間違わないように安全に弾くだけで音楽がないのはもっと恥ずかしい!と思ってしまう私は、

身の程知らずの冒険をおかしてしまいがちです。。

(アホか、、、と自分でも思うけど、、(*_*;

 

 

自分の力量を上げる努力をしながら、今できる中で最大限の表出ができるように、

技量と、抑えきれない自分の情熱のバランスを取ることに、毎回苦労しています。

一か所くらいは、もう~何もかも気にしないで自分を超えることをしてもいいかな、、とは思うけれど、

冒険しすぎでは傷だらけになってしまいますね。

作曲家に申し訳ない、、。(^^;

 

 

いつも、これを書いたときはどんな心境だったか?を想像します。

私が好きな作曲家の方々はどなたももうこの世にはいないので、

直接質問をすることができません。

せめて、本を読んで調べて、いや何よりも楽譜をよく読んで味わって、

この瞬間何を感じていた?

実生活では何があった?

文献と楽譜の両方から探ります。

 

 

 

最終的には、自分の主観がもちろんミックスされてしまうけれど、

私が感じるその作品世界を、聴いてくださる方に紹介したい、

今一緒にその世界に生きたいと願い本番を迎えます。

 

 

 

このところ、朝コンでもトークの時間をいただいて少ししゃべっていましたが、

今回のプログラムは演奏時間がぎりぎり。

昨日通しで弾いてみて、ちょこっと合間に相談したのも含めてトータル58分でありました。

朝コンは1時間のモーニングコンサートなので、今回はほとんどしゃべりません!

 

 

ということで、ただいま当日お配りする解説というか、プログラムノートを制作中です。

原稿はほぼできました。

一か所転記させていただきたく許可を打診している個所があり、お返事を待って、

次回のブログでは一足先にその解説をお披露目したいと思います。

 

 

 

でも、昨日のアルスリハーサルでは、熱い演奏間違いなし!の本番になると確信しました!

掘り出し物のラフマニノフの素敵なロマンスもあります。

 

熱くて魅力的なコントラバス、

素晴らしいピアノと一緒の、トリオとデュオを幸せに思います。

 

 

 

来週の金曜日の午前中、ぜひアルスホールにいらしてくださいね~♪

 

 

121回つくば朝のサロンコンサート 「北の国の晩夏」

915日(金) 1030~ いこいの1時間♪

 

入場料当日券のみ ¥1000

 

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<プログラム>

チャイコフスキー 白鳥の湖 第2幕より グラン・アダージォ

ラフマニノフ   ピアノトリオ第1

ラフマニノフ   ロマンス(原曲は6手連弾)

グリーグ   最後の春 (原曲は弦楽合奏)

グリーグ   ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第3

 

 

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~つくばからの帰り道、稲刈りがだいぶ進んでいました。

秋の田畑と青空が美しい。

今年も美味しいお米をありがとうございます~

 

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