物語としての音楽
9月になりました。
いくら暑くとも、季節は少しずつ秋に移行していきますね。
秋と言えば、食欲の、読書の、スポーツの、そして何よりも芸術、音楽の季節♪
昨日、9月16日につくば アルスホールで予定している
「つくば朝のサロンコンサート」の会場練習を行って来ました。
本番の会場で本番のピアノと弾いておくのは、
音のイメージをつかむ意味でとても大切な経験です。(アルスのピアノは大きいし、、)
聴こえ方がいつもの練習とは違う、
エアコンを入れても弾いているうちに湿気で弦が下がる、
弓の毛の張りが緩くなる、、、のは、あのアルスではいつものことですが、
「やっぱりそうだったか~」という会場コンディションの確認(+対策)と、
仲間に聴いてもらうことの緊張感で、どこが弱いかを確認でき、
本番までのラストスパートの練習の組み立てがはっきりします。
個人的には「あそこがここが、、、(+_+)」はまだ山のようにありますが、
「勇壮なのに、、、バラが!レースが!、、とても繊細な表情があって、オーケストラのようで!」との嬉しい感想をいただき、ガンバロウ!と改めて思いました
リヒャルト・シュトラウスの「ヴァイオリンソナタ」。
よく若い方のヴァイオリンリサイタルや、デュオリサイタルでの
メインの曲として取り上げられる華麗な作品ですが、
私たちはリヒャルトさんの色彩感溢れる和声感を元に、
大人の女性ならではの繊細な感情表現を存分に盛り込み、
若い勇者の情熱の物語を表現したいと構想を練っています。
この作品を書いた24歳の頃のリヒャルトさんは、
ピアニストでもあった美しき人妻ドーラ・ヴィーハンとの恋が終わった頃?
あるいは人知れずまだ続いていた?ちょっと謎な時期なのです。
ワーグナーに心酔していた時期でもあるので、
どこかワーグナーの楽劇のような勇敢な若者がメインの主人公、
そして心優しく気品溢れる素敵な女性の存在も、曲の中に確実に感じられます。
シュトラウスについては岡田暁生氏!で
今 氏のシュトラウスに関する著作の2冊目を読んでいるところですが、
岡田氏は、シュトラウス晩年の傑作「4つの最後の歌」は妻のパウリーネではなく、
この初恋の彼女との思い出を歌っているのではないか?と推測していらっしゃいます。
根拠となる文献はないそうですが、岡田氏の楽曲分析の綿密さによる
シュトラウスの気持ちが手に取るようにわかる解説を読むと、
たとえ根拠はなくとも、私もそうではないか、、と支持したくなります。
いつも自分が弾く作品の周辺の時期の曲も聴いてみることにしていますが、
今聴いているのは、チェロソナタ、歌曲とこのヴァイオリンソナタの後に続く交響詩、
そして時期は飛んで晩年の「4つの最後の歌」。
それらを聴き、伝記や資料を読み、
作曲家がどんな人であったのか、この時期の作品の特徴は何かを探り、
そして何よりも譜面を読み、
より作曲家に近づいた演奏になるように、、、と日々模索しています。
その作業は苦しくも楽しい。 いや、楽しい方が多いかな~♪
私たちが演奏する多くの作曲家はずいぶん前にこの世を去り、
著作権料さえ払わずに演奏させていただいているのです。
(お墓の中から「そんな演奏するな!」と叫ばれないようにしないと、、、(~_~;)
素晴らしい作品を遺してくれた作曲家に心からの敬意を表し、
聴いてくださる方に「この曲 素敵ね!」
「この作曲家の他の曲も聴いてみたい♪」と思っていただけるように、
そしてその作曲家のこともお気に入りの一人に入れていただけるように、、
と願って演奏しています。
さあ、ぜひリヒャルト・シュトラウスの素晴らしい世界へどうぞ。
9月16日(金)10:30開演 「つくば朝のサロンコンサート」アルスホール
http://forest-note.com/
« ただ今 仕込みの真っ最中! | トップページ | 記念演奏会 »
コメント